氣賀康夫

コントロール
Control


    <解説>
    コントロールというのはカード一組から観客に一枚のカードを選んでいただき、 それを一組に戻して混ぜてしまうように見せかけて、実はそのカードを術者が希望する位置 (多くの場合はトップ(一番上)かボトム(一番下))に持って来る技法を意味します。

    カードマジックでは、一組のカードから観客に一枚を選ばせて、それを一組に戻して混ぜてしまい、 それからそのカードを何らかの方法で当てて見せるという奇術がよく演じられます。
    これを英語では“Take One”と呼称し、日本語では「カード当て」と呼称します。
    このような「カード当て」の実現を可能にする手法の主なものは

    ①キーカードロケーション ②コントロール ③フォーシング です。

    コントロールには主にシャフルを用いる方法とカットを用いる方法とが知られています。
    さらにはシャフルもカットもせずに、見かけ上は何もしないでカードをコントロールするPassと呼ばれる技法や、 Side Stealと呼ばれる技法も存在しますが、これは両方ともたいへん難しい技法であり、 筆者はそのような技法を練習することは勧めますが、 カード奇術のコントロールにそのような超難技法を使うことはお勧めいたしません。

    カットを用いるコントロールとしてはVernonが開発したDouble Cutが一時期流行し、 またTriple Cutという優れた方法もよく用いられました。
    筆者はコントロールの目的にはシャフルが一番適していると認識しており、演者と観客とが西洋人の場合には、 オーバーハンドシャフルによるコントロールが一番いいと考えております。

    ところが、このオーバーハンドシャフルは日本人にとっては珍しい奇異な切り方に見えるので、
    日本人の演技者が日本人の観客を対象に奇術を演ずる場合には日本人のシャフルである 日本式ヒンズーシャフル(西洋人のヒンズーシャフルとは右手の手首の位置が違います。) を用いるべきであると考えております。
    そこでこの講座ではその方法を研究いたします。




第5回              第7回