古川令

オリジナル・カードについて

 私が考案したジャンボカードのプロダクションの方法は、角度が厳しいパームからの出現ではなく、言わばカードの裏からカードを出現させるので、マンモスカードでも角度に強い利点があります。普通のジャンボカードの現象だけでは迫力不足である事はFISMで経験済ですが、市販のマンモスカードには「重すぎる」という大きな弊害があります。そこで自分用サイズのオリジナル・カードを作成してみましたのでご紹介します。

 オリジナル・サイズのトランプを特注すると恐ろしく高額になるので、安価に作成する方法として、希望サイズのブランクのジャンボカードで購入してパソコンで印刷する事を考えました。この場合、フォーインデックスも作れるというメリットがあります。

 まず紙については、バイスクルのジャンボカードは厚過ぎで、いろいろ厚紙を調べましたが、結局普通サイズのトランプ用の用紙が、薄くて強度もあってベストとの結論となりました。
 印刷に関しては、市販のブランクカードは表面がWAX処理されているので家庭用のインクジェット・プリンターでは印刷できません。しかしWAX処理をしない状態で購入すれば、パソコンのプリンターで印刷でき、最後にロウを塗れば良いとの考えでした。


購入した裁断したトランプ用紙


印刷結果(左は印刷屋、右はインクジェットのプリンター)

 サイズについては、上着のポケットに入り、かつカードの短辺を片手で持つ事ができるサイズという事で、ブリッジサイズのタテヨコ2.5倍の14cm×22cmとしました。実際にトランプ会社にトランプ用紙の裁断と角丸だけお願いしたのが写真のカードです(ひと束200枚)。

 自分のデザインのカードが自由に作れるなら、ジャンボカードのフォーインデックスが出来るだけでなく、サロンマジック用のトリックパケットなども、自由に作れるという目論見がありましたが、実際に印刷すると問題が発生しました。
 右の写真のダイヤのJは、ブリッジサイズのミリオンカードをスキャンし、2.5倍に拡大してインクジェット・プリンターで印刷してみた結果です。残念ながらインクが染み込まず、特に肝心の赤色がダメでした。レーザー・プリンターやカラーコピーなら大丈夫のようですが、その場合には用紙サイズが限定されます。


カードサイズの比較(ポーカーサイズ、
市販ジャンボカード、自作のカード)

 結局、自宅のパソコンのプリンターで自由なデザインのジャンボカードを作るという目論見は失敗に終わり、知り合いのマジックグッズを作成している方に印刷をお願いしました。その結果が、写真のハートのQで、こちらはきれいな出来栄えです。
 フェイスはプロダクション用にフォーインデックスにしましたが、折角なのでバックはバイスクルと同じ柄にしてみました。仕上げにWAX(ロウ)を塗って、カードプロダクションに使える事も確認しました。

 以上、想定外のトラブルがありましたが、欲しかった「市販のジャンボカードよりも大きな、フォーインデックスのジャンボカード」をなんとか作成する事ができました。今後は、サロン用のトリックカードをインクジェット・プリンターで作成する方法について考えてみたいと思います。

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