古川令

セントルイスのスポーツ

 マジック以外の話が長くて恐縮ですが、最後に、アメリカでは欠かせないスポーツの紹介です。アメリカはスポーツが非常に盛んな国ですが、最も人気があるのがフットボールで、次いでベースボールで、アイスホッケーとバスケットボールを加えて4大スポーツと言われています。

ブッシュスタジアム
2006年に新しくなったブッシュスタジアム。
アーチも見えます。

 セントルイスでは、メジャーリーグのカージナルス、フットボールのラムズ、アイスホッケーのブルースと、バスケットボール以外のメジャースポーツが揃っており、プロスポーツでの思い出は尽きません。

 野球では、天皇皇后両陛下の天覧試合や、最盛期のマーク・マグワイヤ(カージナルス)とサミー・ソーサ(カブス)のホームラン王争いの最終戦などが良い思い出です。そして、なによりあの野茂の活躍をブッシュ・スタジアムで間近に見る事ができた感動は忘れられません。ストでファン離れが進んだメジャーリーグが、たった一人の日本人の活躍で人気を取り戻し、ノモ・マニアが社会現象になった事は、慣れない海外駐在の時期に大きな希望と勇気を与えてくれました。

 ちなみに、セントルイスではカージナルスの試合はすべてTVで見る事ができますが、リーグも地区も違うシアトル・マリナーズのイチローの試合などは全くと言えるほどTVで見る事ができません。日本人のメジャーリーガーの活躍は、アメリカよりも日本に居る方がはるかに多くTVで見る事ができるというのも何か不思議なものです。

 メジャーリーグの試合で感心したのは、特に子供を大事にするファンサービスです。例えばTVでも見られるように、ファールボールは必ずといって良いほど子供にプレゼントされます。また、たまたま野茂の試合の時ですが、なんと子供にはカージナルスのロゴ入りのグローブが配られ、娘も大喜びでした。

カージナルスのロゴ入りグローブ
ブッシュ・スタジアムで子供向けに配られた
カージナルスのロゴ入りグローブ

 子供だけでなく、大人でもTシャツを貰える事があります。私もカージナルスやマリナーズのシャツを貰いました。とてもうれしいのですが、問題はサイズがすべてLLという事です。大は小を兼ねるとは言いますが・・・

 ゴルフもセントルイスで気軽に楽しめるスポーツです。車で30分以内でも20~30$程度のパブリックコースがいくつもあり、十分に距離があってグリーンやフェアウェイも驚くほど整備されており、しかもカートで回れて疲れずに快適です。日本のように茶店で一服などはなく、食事もハンバーガーなどで済ませて、一気に18ホールを回りますので、アクセスも含めて時間もかかりません。

 土地が余っているので、ゴルフ練習場(打ちっ放し)に仕切りの網などが一切無いのはとても気持ちいいです。ただし、どこまで飛んだのか距離がよく判らないというのは問題です(笑)。蛇足ですが、趣味における日米の価格差を痛感する結果、すでに帰国して7年以上になりますが、ゴルフは仕事で1回だけで、マジックのレクチャーの参加はゼロです。

 私にとってゴルフとセットになって記憶に刻まれているのが、あの2001年9月11日の同時多発テロです。その週には、住んでいたアパートのすぐ近くのゴルフ場で世界のトッププロが集まるワールドツアーが予定されていました。あのタイガー・ウッズを一目見る事を楽しみにチケットも買っていたのですが、同時多発テロのお陰で中止になってしまったのは本当に残念でした。もっとも、あのテロがアメリカ住民に与えたインパクトから考えれば、ゴルフのワールドツアーの中止などは、本当に取るに足らない話で、その時のチケットは払い戻しを受けずに被災者に寄付しました。

田口壮選手のサイン

 セントルイスでは日本人会や日本語の補習校の役員などをしていたお陰で、いろいろな経験もできました。カージナルスからは、田口壮選手との正式契約の調印式典に招待されたのも良い思い出です。会社を休んで喜び勇んで参加したら、NHKのニュースで田口選手の奥様(元アナウンサーの香川恵美子)の隣席だった私の顔のドアップが映ったようで、翌日、日本から沢山のメールが届きました。また、1年目のシーズンの最後にようやくマイナーからメジャーに定着できてセントルイスに落ち着いた田口壮選手の歓迎会を、私の帰国間際に開催できた事などは良い思い出です。

田口選手の歓迎会で特別に貰ったサインです。当日は、 お開きで田口選手を拍手で送り出した後、田口選手が 出口で待っていて、オリジナルのピンバッジを一人一人 に握手して手渡すというサプライズもありました。 野球選手としてだけでなく、人間的にも素晴らしい彼は、 メジャーでの人脈もあり間違いなく名監督になるでしょう。

 セントルイスの事を書き始めると、懐かしくなってつい前置きが長くなってしまいましたが、次回からはマジックの話題に移りたいと思います。




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