古川令

アメリカでの買い物(1)

 アメリカでは日本の食材などは高くて貴重ですが、安くてお買い得のグッズも沢山あります。マジシャンにとっての必買アイテムは、シルバーダラーなどのアメリカのコインですが、他にもお買い得アイテムがあり、今回はシルクハット(トップハット、オペラハットとも言う)のご紹介です。

 アメリカ人は普段は非常にラフな服装で、職場でも毎日がクールビズにカジュアルディ、プライベートで夏の外出は短パンという生活でした。しかし、パーティになると、突然ドレスアップしてきます。マジックを演じないのにタキシードを着たのは、私の人生でセントルイスが初めてでした。そんなアメリカでは、小さな町にもタキシードの専門店があります。クロス・タイやカマーバンドなども種類が豊富で値段も安いので、マジシャンには良い土産になるかと思います。

 シルクハット(トップハット)も普通の帽子屋で買いました。黒はシカゴのショッピングモール、シルバーはニューオリンズのダウンタウンの帽子専門店で購入、10年以上前の話で値段は定かではありませんが180$と200$だったと思います。







 トップハットはカードの捨て場に最適という事で、私にとってはどちらかといえば消耗品です。一時期、オープニングにトップハットでのジャグリングっぽいハンドリングを入れようとして練習した事もあって、今まで3つのトップハットのバネの部分を破損させています。

 トップハットは必ずしもシルク製ではなく、下左はヨーロッパ製の安価な布製です。最近は手品用の安価品も販売されているようですが、やはりシルクの場合は光沢が違います。




 写真上右は、この10年位前から使うようになった、マジック用のトップハットです。カードファンからハットが出現するもので、トップハットのように折りたんでから、さらに半分に折りたためます。帽子としての見栄えは良くなく、ジャグリング的なハンドリングもできないのですが、上着に入るという大きなメリットがあり、ミリオンカードの手順ではこちらを使う事が多くなりました。従って、アメリカで買ったシルクハットは、マジック関連のコレクションとして長寿を全うする事が期待されています(笑)。

 アメリカの合衆国としてのユニークな制度は、消費税率が州毎に違うだけでなく、州外で買い物をして郵送する場合には消費税が免除されるという事です。少し高い商品では送料の方が消費税よりも安いケースが多く、嵩張るシルクハットなども郵送してもらいました。

 どんな商品でも郵送で免税という訳ではなく、州税の免税の条件は同じ系列の店が送付先の州内に無い事が条件です。従って全国チェーンの百貨店などはダメですが、ギフトショップなどは大丈夫です。これはネットや通販で買う場合にも適応されます。

 アメリカの買物で覚えておくと良いのは、レシートさえあれば返品が簡単という事です。例えば、ある店で買ったものと同じ品が別の店ではバーゲンで売られていた場合などで、購入した商品を返品して安い店で買いなおすという事ができます。服などは洗濯してからの返却でも大丈夫という話を聞いた事がありますし、実際に私の友人の知人は、学会発表で出張した際にスーツを忘れ、メンズショップでスーツを買って学会での発表後に返品したという話もあります(ホントの話です)。

 日本的な感覚では不思議ですが、アメリカでは、返品を受け付けた方が結果として売上アップにつながるという考えです。お店の人から、「とりあえず買って見て、部屋に合わなければ返品すればよい」という事は何度も言われました。このルーズさは非常に楽ですが、商品の不良品に対するメーカーの意識も低下しているとの印象です。アメリカ製は日本製ほど品質が良くない結果となり、それが乗用車など不具合が困る製品での日本製品の人気となっている理由と思います。なお、開封後でも返品自由と言っても、残念ながらマジックグッズに関しては、商品の不具合が無い限り返品はダメですので、念のため。

SAM100周年記念大会            アメリカでの買い物(2)