平川一彦

ベーシック・ムーブ

第12回

フォールスシャッフル(1)

 では、次に、今まで覚えてきたオーバーハンドシャッフル・インジョグ・ブレイクを使って、フォールスシャッフル(エルドナーゼは、ブラインド・シャッフルと言っています。)をやってみましょう。

 フォールスとは、誤った・本物でない・見せかけの・うわべだけのという意味で、そのシャッフルは、うそのシャッフルと言われていますが、そのままフォールスシャッフルと言っています。
このシャッフルも多くのやり方がありますが、ここでは基本的な方法を解説します。

    フォールスシャッフル

    先ず、初めのフォールスシャッフルは、デックのトップ数枚のカードの順序を変えない方法です。これは、デックの上半分の順序を変えない場合も同じです。

  1. デックのトップにエース4枚(フォー・エースと言います。)をフェイスダウンで置きます。(セットすると言います。)

  2. 4A(フォーエース)をセットしたデックを第6回で覚えた左手のディーリングポジションにメカニックグリップで持ちます。

  3. 第7回のテクニックを使って、右手でデックを左手の平に横立ちにします。
    その時に、左手の人さし指と小指の位置に注意します。

  4. その横立ちしたデックの右半分を右手で上に引き上げます。
    当然、左手に残ったパケットは右側へ傾きます。
    次に、その右手パケットを左手パケットのトップへ下しますが、右手を左手の位置より、少し手前(左手パケットのインナーエンド側)にずらして下ろします。

  5. 両パケットがほぼデック状になったら、左手親指を右手パケットのトップへ付けます。

  6. 右手は再び、右手パケットを上に引きあげます。
    すると右手パケットのトップカードが左手親指ではぎ取られて、左手パケットのトップへインジョグカードになって残ります。
    当然、左手小指の指先は、そのインジョグカードのフェイスに付いています。

  7. 次に、右手パケットを再び、左手パケットのトップに下しますが、今度は、右手の位置を元に戻して、左手パケットと一直線に揃えるように下します。

    そして前と同じように右手パケットのトップカードを左手親指ではぎ取るシャッフルアクションを、右手のパケットがなくなるまで、左手パケットのトップへバランス良く繰り返します。

  8. シャッフルアクションの最中でも、インジョグカードは、左手小指の先で押さえられていて、デックの中に入っていきません。

  9. 右手パケットのシャッフルが終わると、<写真1>(第10回、インジョグの<写真7>の形)のようになっています。

    写真1
    写真1
  10. 右手でデックを<写真2>(第11回、ブレイクの<写真1>の形)のように握ります。その時に、先ず、右手親指のボール部(ほとんど先端)をインジョグカードの縁のトップコーナー近くに付け、右手親指の指先がインジョグカードにちょっと触れる感覚だけで、そのインジョグカードの位置を感じ取ります。

    写真2
    写真2
  11. 次に、<写真3>のように(第11回の<写真3>の形)右手親指に“ブレイク”を作ります。インジョグカードはブレイクからトップ(左側)パケットのボトムカードになっています。

    写真3
    写真3
  12. デックを握っている右手の親指、中指、薬指の3本の指先に力を入れて、デックをギュッと握り締めると、ブレイクから上(左側)のカードのインナーエンドに付いている右手親指のほとんど先端がブレイクの中に少し滑り込んで、ブレイクが今よりほんの少しだけ大きく開きます。

    右手はブレイクから右側のパケットを楽々と取れます。 右手がそのパケットを上へ引き上げると、左手に残ったパケットは自然と右側に傾いて、左手の平にフェイスダウンになります。

  13. 次に右手は、その取ったパケットをそのままフェイスダウンで左手パケットのトップへ軽くポンと投げるような動作で置きます、この動作を“スロウ”と言います。
    左手親指をデックの左サイドに付けます。

  14. 次に右手は、左手にあるデックの両サイドと両エンドを揃えるのですが、それは次のように行います。
    今、デックは<写真4>のように左手にフェイスダウンで持っています。

    写真4
    写真4

    すなわち、右手親指はデックのインナーエンドの中央付近に付けて、右手の中指、薬指、小指はアウターエンドの中央付近につけて、デックを“右斜め上”から握っています。右手人さし指は、トップに軽く曲げておきます。
    この右手の握り方を“エンド・グリップ”と言います。

    右手が単にデックを握る時は、ほとんどこの握り方ですので、正確に覚えて下さい。 デックを右横から握る人が多くいるようですが、“右斜め上から握る”のが正しい握り方です。 しかも、その方がきれいに見えます。

  15. 先ず、<写真4>の状態から、左手はデックを握ったまま、右手は、デックの左側だけを上に、しかも左手の指先に持ち上げます。 すると、左手の親指がデックの左サイドを中央付近まで滑ってきます<写真5>

    写真5
    写真5
  16. 次に、右手はデックを握ったまま動かさないで、左手の親指と他の4本指でデックの両サイドをそれぞれ、先ず、アウターコーナーまで滑らせて、すぐにインナーコーナーまで滑らせます。 そして、再び元の位置に滑らせて戻します。

  17. 今度は、左手はデックを握ったまま動かさないで、右手の親指と右手の3本指を先ず、ほんの少し、それぞれの左コーナー近くへ滑らせてすぐに右コーナーへ滑らせます。 そして再び元の位置へ滑らせて戻します。
    右手人さし指は、当然、デックのトップを左右に移動します。しかしトリックによっては、右手人さし指も一緒に、アウターエンドを揃える事もあります。

  18. こうしてデックの両サイドと両エンドを揃える動作を終わります。
    滑らせる回数は、その時の状況で違いますが、あまり、何回もやらない方がベストです。私は2回までが多いようです。

  19. 右手はデックを左手の平に下して、左手人さし指をアウターエンドに付けて、左手親指をトップへ付けます。 メカニックグリップです。
    さらに、デックのトップは、4枚のエースがそのままになっています。

 以上が、トップ数枚または半分のカードの順序を変えないフォールスシャッフルの1つの方法です、インジョグを作るまでは、手元を見てもかまいませんがすぐに相手を見ながらシャッフルアクションをします。

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