平川一彦

ベーシック・ムーブ

第14回

フォールスシャッフル (2)

 私がマジックをやり始めた頃、ベーシック・ムーブ第12回で解説したフォールスシャッフルを初めて見た時に、パフォーマーが、デックの下半分しかシャフルしていないという事に気付いてしまいました。 このフォールスシャフルは、カードマジックを少しでも知っている人はもちろん、そうでない普通の人の中にも、それに気付いてしまう場合があると思います。 後になって、エルドナーゼの本を見た時に彼も私と同じことを思っていたという事を知りました。 彼の言葉を借りると、

 上記のブラインド・シャフルの弱点は、最後の動作のアンダーカットとスロウで、しかも、それはデックの一部分しか実際にはシャフルされていないという事が相手に気づかれてしまうことです。

と言っています。
しかし、彼はその欠点をカバーする方法をその次に解説していたのです。

  1. 左手にオーバーハンドシャフルの形に持ったデックの約3/4を右手でアンダーカットして引き上げます <写真1>
  2. 写真1
    写真1
  3. 次に右手パケットを左手パケットの上に下ろして、最初のカードをインジョッグして<写真2>、残りを全て、左手パケットの上にシャフルします。
  4. 写真2
    写真2
  5. シャフルし終ると、左手のデックのインナーエンドにインジョッグカードが少し出ていて、しかもそのフェイスに左手の小指の先がタッチしています。 右手はインジョッグの所でブレイクを作りながら、再びデックの約3/4をアンダーカットして引き上げます <写真3>
  6. 写真3
    写真3
  7. 次に右手はブレイクのところまでシャフルして、残りを左手のパケットの上にスロウします。 このブラインドシャフルは、一見したところ、デック全体をシャフルしたように見えますが、実際は、トップの一部分は元のままの順番になっています。
  8. ブレイクの所までシャフルしていく時、右手はデックを固く握っておきます。そうすると、ブレイクに近付いた時に、右手の親指に“あっ、来た!”という感触があります。そして、その感触の所(ブレイク)で、残りのパケットを左手のパケットの上にスロウします。

 以上が、エルドナーゼのデックのトップ部分の順番を変えないフォールスシャフルの二つ目の方法ですが、私もこの方法を多く使っています。
そして、私はこの時代にこのような考え方をする彼の頭の良さを感じると共に、彼と同様な見方をするエド・マーローにも改めて感心しました。また、エルドナーゼのカードテクニックやその見方、考え方が現在の世界中のカーディシャンに受け継がれていると思うと、更に彼の偉大さが理解出来ます。

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