平川一彦

ベーシック・ムーブ

第15回

フォールスシャッフル(3)

 前回は、デックのトップ部分のカードの順番を変えない方法でしたが、今回はボトム部分のカードの順番を変えない方法です。

  1. デックを左手にオーバーハンドシャフルの形に持ちます。
  2. デックの右約3/4を右手でアンダーカットして、それを左手のパケットの上に約2/3シャフルします。
  3. 次の1枚をインジョッグして、右手に残った約13枚位のパケットをそのまま左手のパケットの上にバランス良くスロウします。 左手にはインジョッグしたデックを持っています。 次の動作は注意して読んで下さい。
  4. ここから、ベーシック・ムーブ 第11回の“ブレイク”を作って、デックの右側のパケットを右手に取るのですが、ここでは、その作り方が違います。
    つまり、右手の親指の指先をインジョッグカードの縁に付けて、デックの中に押し込むのは同じですが、今度は、そのジョッグカードを右手の親指の先で右側(ベーシック・ムーブ 第11回では左側)に引き戻して、デックの中へ押し込みます <写真1・2>
  5. 写真1
    写真1
    写真2
    写真2
  6. 次に、そこに出来たブレイクより右側のパケットを右手で取り、引き上げます。 インジョグカードは右手のパケットのトップになっています。 そして、右手のパケット全部を左手パケットの上にシャフルします。 シャフルし終ったデックのボトムの12、3枚は、元の順番のままです。

 このシャフルも、デック全体をシャフルしたように見えますが、実際は、ボトムの約12,3枚はシャフルしていません。 ブレイクから右側のパケットの取り方を再度、説明します。 ブレイクを作って、右手に少し力を加えて、デックの両エンドを握り締めると、ブレイクが更に大きく開いて、右手の親指の爪先がブレイクの中に滑り込んで行き、右側のパケットを簡単に握る事が出来ます。 別の言い方をすれば、右手の親指の爪先の甲部(背部)が、左側のパケットのフェイスにあたり、そのパケットを左方向へ押し広げる形になります。 それで右側のパケットが取り易くなります。 エルドナーゼは、次のように述べています。

 ジョッグを作って、その上にシャフルする時には、右手を、ほんの少し前後に動かして、ジョッグカードの上にシャフルします。すると、デックの両エンドが少し不揃いになりますが、その方が故意に突き出したジョグカードを効果的にカバーしています。


 また、彼は続けて次のように言っています。

 有能なシャフラー(シャフルする人)は、カードを完全に均一には揃えません。不揃いのほうが規則正しく揃っているより、更に自然に見えます。これらのシャフルを正しく行なえば、全く、本当のシャフルと見分けがつかないでしょう。


 彼の言っている事は、本当に物事を的確に判断しています。現代のカーディシャンのほとんどが、彼のテクニックを参考にしているのも頷けます。

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