平川一彦

私とエド・マーロー
第7回

<マーローのカードテクニック:2>

 では、次に、“オフ・ザ・トップ”から遅れること2年の1947年に出版されたマーローの“マーロー・イン・スペード”から“マーローズ・ツーカード・スロウ”を解説してみます。このテクニックもビギナーの人には少し難しいかもしれませんが、練習と慣れに勝るものはありません。ぜひ、やってみて下さい。

  1. デックを左手にディーリングポジションに持って左側へビベルをつけます。左親指はデックの上に自然におき、左手中指と左手親指の第一関節でそのビベルサイドを下へ押し、それによって放れた2枚のカードの間に左手中指でブレイクを作り、“ツーカード・スロウ”の準備をします。次に左手中指と薬指で2枚のカードを上方へ押し上げて、そのカードを親指とその他の指の間に保持し、親指で2枚のカードの上を押し続けて、親指と他の指を伸ばしてトップカードを押し出したように見せるまでは、第6回で解説した“マーローズ・ワンハンド・ダブルターンオーバー”と全く同じです。
  2. ここから、この2枚のカードに対して、左手の親指は下方へ、そして他の指は上方へ押し付けて≪写真1≫のようにクリンプを付けます。このクリンプは、次の動作で2枚のカードを1枚のように保つのに非常に重要です。
  3. 写真1
    写真1
  4. 左手をターンして甲を上に向けて、その2枚のカードを≪写真2≫のようにテーブルへフェイスアップにトスします。カード(2枚)をトスしても、クリンプのためにカードはずれないでしょう。
  5. 写真2
    写真2
  6. ここで客にトップカードが客のカードかどうかを尋ねます。次に残りのデックをテーブルカードの上にフェイスアップで落します≪写真3≫。そしてボトムカードのついても同じ質問をします。
  7. 写真3
    写真3
  8. たまに、カードをフェイスアップで右手の平にトスしたいと思うことがあります≪写真4≫。そのときでもカードは、クリンプのためにずれないでしょう。そのカードを左手のデックのトップにフェイスダウンでトスバックする前に、右手の中で軽く上下にトスすることもできます。
  9. 写真4
    写真4

― Marlo In Spades P.5~6 ―

 以上ですが、やってみてどうでしたか?クリンプを付けていてもカード(2枚)をトスするとずれることがありますので、前回で説明したように、両手でそのカード(2枚)をテーブルへおいたほうが安全です。癖のついたカードや、そりの付いたカードでは、クリンプを付けても2枚が完全に重ならずに浮いてしまうことがあります。つまり、2枚の隙間に空気が入り、ずれるリスクが高くなります。慣れてくると、単に1枚のカードを片手でテーブルにトスしただけに見えます。

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