平川一彦

私とエド・マーロー
第16回 (サイド・スリップ2)

 今回も、マーローから少しサイド・スリップしてみましょう。

<その1>

 久し振りに、東急ハンズに行ってきました。まず、最上階へ行き、1階ずつ下りて行きながら、各フロアーを見て廻りましたが、デパートと違って変わった物が多くあって、非常に面白いし、ワクワクします。しかも、マジックに役に立つものが、たくさんあります。

 そして、“手品売場”へ着きました。プロやマニアが喜びそうな世界のマジックが数多くあり、私でも少年の顔になってしまいます。

 今回は、マーローのトリックに使うカードの大・小をまとめて買いました。このトリックがまた、素晴らしいんです。そのうち、機会があれば、ご紹介できるかも知れません。

<その2>

 マジックを演じてくれる日本のバー、レストラン、を調べました。まあー、たくさんあること!私がお金持ちならば、毎日のように行けるものを。残念!!

 でも、かつて私もよく行った、都会(?)のオアシスがありました。某駅近くにあるおそば屋、夜は居酒屋に早変わり、で、多くのマニアやプロと、ワイワイ・ガヤガヤ。ここのご主人と私との付き合いは長く、彼がまだ修行中時代、私が大学生の頃に出会い、毎晩、遅くまで二人でマジックをああでもない、こうでもないと論じながらやっていました。

 彼が店を持ってから、私は、その店で、マジックをお客様に見せたりしていました。もちろん、その店には、各マジック・クラブの人や、内外のプロマジシャンもよく来店して、ハイレベルなマジックを楽しむことができました。TVでも何回か紹介されて、知る人ぞ知る穴場でした。今となっては、店仕舞いしてしまったことが、残念でなりません。

<その3>

 私は当初、ステージマジシャンは、クロースアップマジックをやらないと思っていました。しかし、それは間違っていました。日本が誇る石田天海氏や外国では、ケン・ブルック、カーディニーなど有名なステージ・マジシャンにしても、クロースアップの面白い、そして素晴らしい当人だけのトリックがあります。

 逆に、クロースアップで知られているマジシャンもステージマジックをやります。スライディニー、バーノン、チャーリー・ミラーなど然りです。

 皆、マジックを全般的にやっているという事ですね。分けて考えていたのがそもそもの間違いでした。

 それに関して、あるちょっと微笑ましいエピソードがあります。1970年代の頃ですが、胴切りで有名なマジシャンのリチャルディが来日した時に、私と、その当時、天地のディーラーだった友人と、彼の楽屋へ訪ねて行き、彼に安全ピンのリンキングトリックをプレゼントしました。

 彼のステージを見終って再度、楽屋へ行ってみると、何と彼は、鏡の前で一心不乱にプレゼントした安全ピンのトリックを、説明書を見ながらやっているではありませんか。今でも通用するほど鮮烈な、胴切りイリュージョンをやる大スターがです。そして彼は、時折、ニコッと笑ったりして、もう少年の顔になっていました。

 それを見た私と友人は、大スターに登りつめたほどの人が、マジックへの飽くなき好奇心を抱いていることにとても心を打たれました。友人と同じくらいの、それほど高くない背丈の彼は、今頃、天国であの“安全ピン”を、神様や天使達に見せているかもしれません。

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