平川一彦

私とエド・マーロー
第20回 (サイド・スリップ3)

 今回も、マーローから少しサイド・スリップしてみましょう。

<その1>

 日本人は、マジックを見ると、どうしてもそのタネを知りたがる傾向にあるようです。特にクロースアップマジックの時などにそれがよく見られます。

 つまり、マジシャンが演じたマジックに対して、「それは、どうなっているの?」とか「タネを教えて」、もっと恐ろしいのは「お金を払っているんだから、タネぐらい教えたっていいじゃないか」などと言います。見せた相手がマジシャンと親しければ親しいほど、それが強いようです。

 皆さんも一度は、そういう事を言われた覚えがないでしょうか。そんな時、皆さんはどうしていますか?ま、そんなことを言わせるように演じた、マジシャンのせいだと言われれば、それまでですが…。

 無視ですか?種類によってはタネを明かしますか?三原則を言って諦めさせますか?タネ明かし料(?)として別料金を貰いますか?

 私の場合は、「このタネはですねー」と言いながら、それに似た別のマジックを演じて、タネ明かしをしたように見せて、実はタネ明かしをしないで、相手を煙に巻いて、うやむやにしてしまいます。中には、「タネ明かしになってないじゃないか」という人もいますが、その人も、しまいには諦めてしまいます。

 しかし、外国人の見方は、どうも日本人と違うようです。私が今まで外国人に見せてきた経験では、クロースアップでも、ステージでも、タネを見破ってやろうと言う気持ちであるよりは、むしろ、マジックを楽しんで見ているようです。というのも、今まで「タネ明かしをしてくれ」と言った外国人に会った事がないのです。

 この違いを、ある時、私は、某英会話学校の外国人教師に聞いた事があります。彼が言うには、彼らは小さい時から、親に何でも楽しく、また感謝の気持ちを持って見るように躾けられているので、マジックに対しても同様であるとの返事でした。そう言えば、彼らに見せた後に、彼らは必ず心を込めて「サンキュー」と言っていました。国民性の違いだけでしょうか、私は、それだけではないような気がします。

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