平川一彦

パンドワー
第11回
ゾーズ・ワイルド・ワイルド・エース(2)

準備

 第10回の手順(1)で胸ポケットに入れたパケットをそのまま使用します。
パケットはポケットの中でフェイスが客側を向き、ブランクインデックスは右上コーナーに来ています。

手順(2)

  1. 右手は胸ポケットからパケットを取り出して(この時、客にパケットのブランクフェイスが見えます。)フェイスダウンで左手のディーリングポジションに置きます。パケットはトップからボトムに、赤バックのブランクフェイス、青バックのスペードのA(レギュラー)、ブランクインデックスカードのダイヤのA、クラブのA、ハートのA(インデックスは右上コーナーに来ています。)、そして青バックのブランクフェイスの順になっています。
  2. トップの赤バックのブランクフェイスカードは、そのフェイスにラフ加工してあるので次のバックにラフ加工してあるスペードのAにくっ付いています。
    次に右手の親指をパケットのインナーエンド側からトップに付けて他の指をインナーエンド側のフェイスに付けてパケットを握ります。右手はパケットを片手ファンにして、4枚の青バックのカードと1枚の赤バックのカードを示します。(ファンはあまり広げ過ぎないように注意します。)
  3. 左手は5枚のファンカードの左サイドから、左手の親指をトップに、他の指をフェイスに付けてファンを握り、右手をフリーにします。そして右手は<写真1>のようにトップの赤バックのカード(実は2枚)の右上コーナーを、親指をフェイスに、人さし指をバックに付けて握ります。次に右手は外側にターンしてスペードのAをフェイスアップにすると同時に左手だけで<写真2>のようにファンを閉じてディーリングポジションに握ります。
  4. 写真1
    写真2
  5. 続けて右手はスペードのAを左手のカードのトップにフェイスダウンに置き、右手の人さし指で左手パケットのトップの赤バックカードの右下コーナーを持ち上げてそのカードを取り、フェイスダウンでテーブルに置きます。 右手は左手パケットの両エンドを上から、右手の中指を右上コーナーの端に、そして右手の親指を左下コーナー近くに、そして右手の人さし指をトップに曲げてパケットを持ちます。
  6. 左手はパケットをより深く掴みます。そうすると左手の親指は右手の人さし指の指先から数枚のカードを剥ぎ取ることが出来ます。
    それから<写真3>のようにそのカードを左方向にスプレッドします。しかし最後の2枚は右手の中指と親指で1枚のように保持しておきます。右手の人さし指をファンカードの上に押し付けて、ファンを右手で持ち、左手をフリーにします。
    フリーになった左手は<写真4>のようにファンカードのインナーエンドを持ちます。
  7. 写真3
    写真4
  8. 左手を上げて<写真5>のように4枚のブランクフェイスカードを示します。 (この時に右上コーナーに来ているブランクインデックスと、左手でカバーしているスペードのAのインデックスが見えないように注意します。)
  9. 写真5
  10. 左手を下げてカードをフェイスダウンにして、右手で左手に集めて揃えます。 次に左手の親指でトップカード(実際はスペードのA)を右側へ押し出して、右手でそのカードを取り、それでテーブルの赤バックカードのバックを何か適当な台詞を言ってタッチします。(又は撫でます。) 右手はその青バックのカード(スペードのA)を左手のカードのボトムに戻します。
  11. するとバックにラフ加工したこのスペードのAは、フェイスにラフ加工した青バックのブランクフェイスカードにくっ付きます。右手はパケットのインナーエンド側から親指をフェイスに、他の指をトップに付けてパケットを握り、ファンにしてそしてフェイスアップにターンして4枚のAを示します。 そして右手に持っているフェイスアップのファンカードの外側の縁でテーブルにフェイスダウンになっている赤バックのカードをフェイスアップにターンして、ブランクカードを示します。これは手順(1)の<写真3>と同じです。
    ここで現象を止めることも出来ますが、逆に現象を戻すことも出来ます。
  12. 先ず、右手のファンを左手にフェイスダウンにターンして集めます。そして左手の小指は右下コーナーでボトムのスペードのAをプルダウンしてラフから剥がします。そして右手でそのカード(スペードのA)を取り、左手のディーリングポジションにフェイスダウンで持っているパケットのトップに移します。 次に右手はテーブルの赤バックのブランクフェイスカードを取り、左手のパケットのトップにフェイスダウンで置きます。(ブランクインデックスは右上コーナーに来ています。)
  13. 右手はカードを揃えて、親指をパケットのインナーエンド側からトップに、他の指をフェイスに付けて握り、そしてファンにして再び4枚の青バックカードと1枚の 赤バックカードを示します。次に左手はファンのトップカード(赤バックのブランクフェイス+スペードのA)と次の青バックのブランクインデックス(ダイヤのA)のアウターエンドを、親指をトップに、他の指をフェイスに付けて握ります。この時、左手の人さし指がトップから2枚目(実際は3枚目)のブランクインデックスカードの右上コーナーのダイヤのAを隠していることに注意します。
  14. 右手はトップの赤バックカード(実際は2枚)を、親指をトップに、他の指を フェイスに付けて取り、<写真6>の様に右手を内側にターンしてカードをフェイスアップにしてブランクカードがスペードのAに変わったことを示します。 左手は、まだフェイスダウンの青バックカードを保持しています。 右手は持っている赤バックのスペードのAのフェイスを外側(客側)に向けたままコートの外側の胸ポケットに、又はシャツの胸ポケットに入れます。
  15. 写真6
    写真7
  16. 次に左手を上に上げてブランクカードのフェイスを示すと同時に右手の指でファンカードのトップエンドを真っすぐにします。 この、手を右方向へ動かしてカードのエンドを真っすぐにする動作は、まるでカードのファンを右手の指で更に広げているかのように見えます。<写真7>はそれを客側から見たところです。左手の指は当然、インナーエンドに来ているAのインデックスを隠しています。
  17. そして右手は、まだファンのフェイスを客に向けたまま左手に閉じて揃えます。これはボトムに完全なブランクフェイスカードを残したままにします。そして右手は揃えたパケットのフェイスを客側に向けてポケットの中の先に入れたスペードのAの前(客側)に入れます。ブランクカードのインデックスは左下コーナーに来ています。

MAGIC, INC."THOSE WILD, WILD, ACES"
by Edward Marlo, P.03~05



 <写真3>の右手に持ったパケットから左手の親指で数枚のカードを剥ぎ取り更に左方向へ広げるのは簡単なようで案外難しいテクニックです。
マーローはこのテクニックを単に次のようにも行っています。

  1. 右手でトップの赤バックカードをテーブルに置いたら、左手はパケットを右手のディーリングポジションに移します。
  2. そして右手の親指でトップカードの約半分を左側へ押し出します。その押し出されたカードの左下サイドのコーナー近くを左手の親指と人さし指と中指のベースの皺で挟みます。トップカードの右半分はまだパケットの2枚目のトップに付いています。
  3. この状態で右手の親指は2枚目のカードを左手のカードの下へ押し出して、そのカードの左下コーナーを左手の人さし指と中指の第3関節とトップカードで挟みます。もちろん左手の親指はトップカードを押さえています。
  4. 続けて3枚目のカードを押し出して、これもそのカードの左下コーナーを左手の人さし指と2枚目のカードで挟みます。
  5. 4枚目のカード(実際は2枚)はそのまま1枚のように左手の人さし指と3枚目のカードで挟みます。今、左手は4枚(実際は5枚)のカードを、左手の親指をトップに、人さし指と中指をフェイスに付けてカードの左下近くを握っています。左手の親指はトップカードのほとんど右下コーナー近くを押さえています。4枚目と5枚目のカードはラフ加工でくっ付いています。
  6. そして左手をターンして<写真5>のようにブランクフェイスカードを示します。

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