氣賀康夫

アンカーパズル
第3回

清少納言智恵の板

 ところで、日本の古い文献に「タングラム」とたいへんよく似たパズルが紹介されています。それは数学的に言うとA B C D D E Fというタングラムとは異なる七枚を組み合わせたものです。そして、それも上手く並べると同じように正方形におさまります。<写真1>興味深いことにこのパズルが紹介されている文献はタングラムより古い1742年だという点です。ただし、清少納言はさらに時代が古くこのパズルには関係がないと言われています。このため、一説に「タングラム」はこの「智恵の板」をヒントにして作られたのではないかと言う人もありますが、本当のことはよくわかっていません。

清少納言智恵の板
<写真1>
清少納言智恵の板 (実寸:9.3cmx9.3cm)
タングラム
<写真2>
タングラム (実寸:9.3cmx9.3cm)

キングラム

 キングラムは筆者の作品ですから出所がはっきりしています。これは、筆者が上記の二つの古典的パズルを比較検討していて1978年に創作したものです。第一生命は当時これを「ポピーグラム」と名づけ、セールスマンの顧客向け贈答品として活用しました。このパズルの組み合わせは、上記の2パズルと条件を合わせ、全部で部品はやはり七枚、それで正方形ができるようにデザインされています。それを構成する図形はA B C D E F Gの七枚です。<写真3>この作品の上記の2パズルと異なる特徴は七枚の中に同じものが二つとないという点です。このようにキングラムは何かの模倣でなく、完全なオリジナル作品です。しかし、非常に規則的な図形ですから、どこかの国で誰かが同じパズルを創作してもおかしくありません。そこで、1978年当時、日本のパズル研究の権威である芦ヶ原、高木(茂)両氏にお見せしたところ、お二人ともいままで見たことがないデザインであるとおっしゃり、念のためアンカーパズルの世界的権威であるジェリー・スローカム氏に聞いてみようということになりました。芦ヶ原氏の紹介で手紙で照会したところ、お返事は「このデザインはいままで見たことがなく、たいへん優れたデザインのだと思う。」という証言でした。
そのときの手紙を下記にお示しします。

キングラム
<写真3>
キングラム (実寸:10cmx10cm)

「貴殿のパズルと同じデザインのパズルはこれまでに見たことがありません。
 -中略-
私がこれまでに見た限りで、この種のパズルのうちで同じ切片を2つとして 用いないというものはこれしかないと思います。 貴殿のパズルは非常に優秀なものであると思います。  ・・・以下略」

「タングラム」(最古の文献1803年中国)研究家 ジェリー・スローカム


「小生の知る限りではこれと同じ切り方の板は見当たりません。
 -中略-
知恵板はやはり7枚くらいの構成が手頃で、元形は正方形が好ましいと思います。 「ポピーグラム」は様々な特色を持った優れた作品だと思います。
 ・・・以下略」

「智恵の板」(最古の文献1742年日本)研究家 高木茂男


 パズルに興味のある方の為に以下のアドレスに実寸大の印刷用ファイルを用意しました。 ファイルをダウンロード後、プリンターで出力して下さい。 出力した型紙を両面同色の厚紙やポスターボード等に仮止めして型紙に沿って裁断します。型紙を取り去ると自作のパズルが出来上がります。

「キングラム」印刷用ファイル(PDF)

「タングラム・智恵の板」印刷用ファイル(PDF)


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