氣賀康夫

ダイヤの盗み取り

<解説> このパズルは最近の作です。完成して他人に初めてそれを見せたところ、「アッ、これは北欧のトランプと同じですか?」と質問されました。お詳しいですね。そのとおりであり、これは久しぶりの面積増減パズルの作品なのでした。ただし、北欧のトランプとは図の切断の方法がかなり違います。北欧のトランプでは基本的に垂直な線にそって図を分割していますが、この新しいパズルでは斜めの方向にそって切断しています。そして、デザインは、数片に裁断された1枚のダイヤの7です。北欧のトランプと同じ原理で、裏と表との印刷デザインに誘導されてその切片を並べると、表と裏で異なる並べ方がごく自然に行われます。そして、切断して消滅する面積の個所が丁度ダイヤの7の中央のダイヤ印のところになるようにデザインしてあります。それでダイヤの盗み撮りという演出ができるわけです。

<用具> 1枚のダイヤの7を五つの切片に裁断したものが材料です。表面は写真1のようになっています。裏面でこれを揃えようとすると、写真2のようになりますが、この場合、一番小さい菱形切片(表はダイヤ印)は余ってしまいます。

写真1
写真1

写真2
写真2

<演出>
1. このパズルを見せるときは、見せるに先立って、一番小さいひし形の切片(表はダイヤ、裏は裏模様の一部)を適当な宝石箱に入れて用意しておきます。宝石箱がないときは、封筒に入れておくのでもかまいません。

2. そして残りの4枚の切片を取り出して、テーブルの上にバラバラと置きます。このときは表向き2枚、裏向き2枚くらいがいいと思いますが、二つのインデックスの一つは表向きになっている方がいいと思います。

3. ここで、「これは1枚の大きなトランプを鋏で切ったものですが、何のカードかはおわかりになりますか?」と質問します。観客はインデックスが見えているので、迷うことなく「ダイヤの7」と応えるでしょう。

4. そこで、切片を一旦全部表向きにしながら「そうです。これはダイヤの7です。」と言います。そして、表を見せ終わったら、直ちに、切片を全部裏向きにします。そして、「ではこの切られたカードを1枚に揃えてみてください。」とお願いします。観客がちょっと考えれば、簡単に4枚の切片で1枚のカードの形が簡単に完成するでしょう。(写真3)

写真3
写真3

5. そこで「このカードはご覧のとおりダイヤの7ですが、ダイヤの7というのはラッキーセブンの幸運のカードですので、欲しいと思えば、ダイヤモンドを一つそこから取り去ることが可能です。」というおかしなことを言い始めます。そして、ポケットから菱型の切片を入れておいた宝石箱(または封筒)を取り出して、それをテーブルの上の切片の上方にかざして左右に振りながら、もっともらしいお呪いを掛けます。

6. そうしたら、宝石箱を脇に置いて、テーブルのカードの切片を全部表向きにします。このときは切片が再びバラバラになる方がいいでしょう。そして、「では、表でカードを1枚に整えてみてください。」とお願いします。観客が並べてみると、どうしたことが、真ん中あたりに穴があいているではありませんか。(写真4)

写真4
写真4

7. 最後に、宝石箱(または封筒)を観客に手渡し、中身を取り出してもらいます。その菱型の切片の表は、揃えたカードの欠落部分と一致するでしょう。

<後記> このダイヤの盗み取りの演出をご覧になったTAMC会員のお一人が筆者に「それはハートでもできますか?『ハートの盗み』なら、バーやスナックで使えます。」と感想を述べられました。この話を聞いて早速ハートのデザインに取りかかりましたが、ハートですと裁断を少し修正する必要がありました。でも大した違いではありません。簡単に一つ作成してプレゼントしましたが、筆者はまだバーやスナックで演じて女性の注意を引こうと試みたことはありません。
なお、このパズルを作るときは、カードの四隅を丸く切ることは避ける方が無難です。勿論、市販のジャンボカードから作ることは適当ではありません。

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