氣賀康夫

リグリーズガムのおまけ

<解説> これは最近の新しいコンセプトを取りこんだパズルです。そのヒントになったのは、アメリカで作られたスターバックスのポイントカードというパズルでした。そのパズルでは、コーヒーカップのデザインに切り込みが入っていて、それを指で抜き取れる構造になっていました。これを見ていて、私は抜き取るのは何かのデサインではなく、何かの現物の方がインパクトがあるのではないかと考えて、短冊形(長い長方形)の商品でいいものがないかと思索することになりました。すぐ思い浮かんだのがチューインガムと虎屋の一口羊羹でした。両方とも試作品を作ってみましたが、チューインガムの方が厚さが薄いので具合がいいことがわかりました。そこで、昔懐かしいアメリカのWrigley’sのチューインガムでパズルを作ることにしました。仕上がりは上々であり、いろいろは人に見せたところ、たいへん好評でした。それをここに最後の作品として提供します。

<用具> 台紙には厚いボール紙を使いました。裏表の色彩に差があるものを入手しましたが、なかなか具合がいいです。ガムはデパートなどで入手できますが、種に固定するものは厚さの調整のためガムを抜き、薄いボール紙を同じサイズに裁断し中身にして再包装しました。厚さが3mmから2mmくらいに減りました。このパズルはガムの現物がはまっているため取り扱いが難しいので、同じサイズの台を使うことにしました。これはダンボールでも木の板でもさしつかえありません。パズルは本体が1個、それと同じデザインの固定されたモデルが1個です。(写真1) そのまま裏返しすると、モデルではガムの裏模様が見えられるだけです。(写真2)このガムは上記のフェイクであり、セロテープで動かないように固定してあります。一方、パズル本体の方は裏にクライマックス用の仕掛けがほどこしてありますから、ここは見せるわけにはいきません。

写真1
写真1

写真2
写真2

<演出>
1. 準備としては、台の上にパズル本体を置き、その上にモデルの方を重ねて置きます。ずれないようにゴム輪などで止めておくのもいいと思います。

2. 用具を取り出したら、モデルの方をテーブルの上に置き、話を始めます。「このご覧のセットは昔なつかしいリグリーズのチューインガムです。このガムはお買いになると一包みに七枚のガムが入っています。これがその7枚です。」こう言いながら、モデルの台紙をよく見せ、裏も返して見せます。当然のことながら、表からも裏からもガムが7枚見えます。「この7枚のセットをお買いになると、ときどき、おまけの8枚目が隠されているということをご存知でしょうか?ご存知ない?そう、ご存知ない方が多いです。」と奇妙な話を始めます。

3. ここで、モデルの台紙を脇にどけておいて、いよいよパズル本体をテーブルに置きます。このとき、パズルを構成する3枚の切片のうち、最大の長い切片が術者の近くになる方が後の動作がやりやすいでしょう。このとき、そのパズル本体と、モデルとが同じデザインになっていることをよく説明してそのことを確認します。次に、パズルの七つの穴にはまっているガムを一つずつ指で取り外して、脇に並べていきます。そして、それが7枚であることを確認したら、ガム7枚を術者の上着のポケットにしまいます。

4. パズルを構成している3枚の切片に注意を払い、それに穴があいていること、穴の数は7ヶ所であること再確認します。そして、ここから大切な動作が始まります。まず、最大の切片を左手で持ちあげます。そうしたら、右手の拇指をその中央の上側に当て、残りの四本の指を裏側に当てて、その切片を持ちます。そして右手をくるりと返してその裏面を見せるのですが、その切片の中央にある秘密のガムの部分は右手の四本の指で完全に隠されていないといけません。(写真3)秘密のガムがちらりとするとぶち壊しになります。このとき、動作はリラックスして何気なく行い「穴は表からもと裏からも同じ用に見えます。」と説明します。そして、すぐにこの切片の向きを元に戻し、テーブルの元の位置に置きます。

写真3
写真3

5. 次に、左上に位置する中間サイズの切片を右手で取り、左手に手渡しますが、このときは左下隅の裏側に隠されているガムの部分を左手の四本の指で被うようにしなければなりません。そして、右手は右上の小さい切片を持ちます。この切片には仕掛けがないので持ち方に神経を使う必要はありません。

6. ここで、左手を返します。(写真4)そして同時に右手も返して、二つの切片の裏をよく見せます。そして「当然、裏の穴は表の穴と同じものです。穴は表か裏か片方だけにあけることはできません。」と言います。そして、二つの切片を元の向きに戻して、それをテーブルの元の位置に戻します。

写真4
写真4

7. ここからが観客を驚かせる演出です。まず、右手で右上の切片をその位置のまま裏返しして、元の位置に再び置きます。

8. 次に左手で手前の最大の切片を取りあげ、右手に手渡し右手は先ほどと同じように四本の指を下面に当てて秘密のガムを隠すようにします。ただし、まだ切片を裏がえしはしないでおきます。

9. そして左手で左上の切片を取りあげます。このときも、四本の指で裏側のガムの部分を隠すのがいいと思います。

10. 最後に、両手で2枚の切片を同時に裏返しして、3枚が揃う位置にそれを置くようにします。すると、置いた瞬間に裏側にガムがもう1枚分登場するので観客は度肝を抜かれることでしょう。(写真5)ただし、このガムははずすことができません。そのままで、「これはリグリーズがときどき提供しているおまけのガムです。今後、リグリーズのガムを買ったらば、第八枚目のガムがないかどうかよく調べてください。」と話を締めくくります。

写真5
写真5

<後記> このパズルは古典的な消える短冊の原理だけで出来あがっています。ただし、消える図形が穴になっているところがユニークであり、そのため表と裏が同じだという印象を与えることができます。そういう作品はいままで見たことがありませんでした。そして、穴になにか世の中にあるおなじみのあるものを入れておきたいと考えたのは筆者が初めてかもしれません。

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