氣賀康夫

ティアラの怪


    <解説>
    これまでにも、筆者は消滅出現パズルを沢山作ろうという考え方は持っていないと申しあげておりますが、最近、たまたま、またまた新しいデザインができあがりましたので、ご紹介いたしましょう。 これまでにお目にかけた私の人物消滅パズルでは、「消える美女」「ゴルフとブリッジ」が比較の対象になります。 すなわち、その前者はデザインの写実性という意味では素晴らしい出来なのですが、 それだけに登場人数がたいへん多いという特色を持っています。 一方、後者はデザイン上かなりのデフォルメがありますが、登場人物の数を減らす試みでの極限と思われる3人⇔4人という珍しい作品でした。 今回ここに紹介する新作は2人⇔3人というものです。これは新記録!おそらく限界でしょう。 それだけにデザイン上は「ゴルフとブリッジ」以上に苦しいところがあるのですが、楽しい物語でそれを補っております。 お楽しみいただければ幸いです。

    <演出>
    ところで、「ティアラ」というのは何のことかわかりますか。 オーストラリアにいる珍獣?それはコアラです。ティアラというのは女性が頭を飾るのに用いる豪華な冠のことです。 ご記憶でしょうか、あのオードリーヘップバーンが「ローマの休日」の最後のシーンで頭に乗せて人々を魅了したのがそれです。 本当に位の高い王族が被る冠はクラウンと呼びますが、それは主に女王様が被るものです。 そこで、平民でも身につけることができるのはティアラということになります。


    ところで、私の友人で、今の歳になるまで独身を通し、周囲から一生独り者で通すだろうと思われていた人がおりましたが、 最近、素晴らしい高貴な金持ちの美人と知り合いになり、結婚するという話になりました。 そして、その婚約者がぜひティアラを被りたいと言い始めたということで、 二人はその名を知らない人がいないという銀座の有名宝石店にでかけることになりました。これがそのときの風景です。<デザインA>
<デザインA>
    店員は、店内に展示されているティアラをお見せして、「これがとてもお似合いです。」とその品をお薦めしました。二人もそのデザインがたいへん気にいり、購入を前向きに検討するということで、その日は店を出ました。
    そこで、後日この話を聞いた私は、友人として、「ティアラはやめた方が無難だと思う。なぜならば、あれを頭に乗せると、男性がそれに魅了されて、沢山集まってくるのでトラブルのもとになる。」と申しあげました。すると二人は、そんなことがあるだろうかと、半信半疑で宝石店をふたたび訪ねてみることにしました。そして、店で婚約者がティアラを頭に乗せて鏡の前に立つとどうでしょうか。一分もたたないうちに、見知らぬ男性が左右に寄り添ってきたではありませんか。これがそのときの様子です。<デザインB>
<デザインB>
    これはあぶない、あぶない!それでその話がその後どうなったかというと、私の友人は婚約者の希望にもかかわらず、二人で相談した結果、将来のことをよく考えて、ティアラを買うのを止めることにしたのでした。それでお二人は今日に至るまでトラブルにも会わず幸せにくらしているということです。めでたし、めでたし。

    <見せ方>

  1. デザインは写真のとおりです。


  1. このデザインをカッターなどで、上下に二分し、上の半分をさらに左2/3と右1/3に切り分けて、三つの切片にします。 できれば厚紙などにスプレー糊で貼りつけて仕上げるのがいいでしょう。

  2. 写真の位置どおりに三枚を並べると<デザインA>になり、左にティアラの陳列台、中央に女性、右側に男性がある図になります。

  3. そして、上の二枚の位置を入れ換えると、<デザインB>になります。このデザインでは、左に男性、真ん中にティアラを頭にのせた女性、そして右側にもう一人の男性が現れます。これを活用して、上記のお話を語るのが楽しいと思います。

第15回