坂本圭史

航空会社の無料配布カード(2)

 航空機内の無料配布カードについては、こんな笑えぬ笑い話もある。

 私の友人のマジシャンが、マジックのネタを作るため同じカードを沢山入手する必要があった。そこで考えたのがこの無料配布のカードである。同じ航空会社に乗って、渡航する時、夫婦で一個ずつカードをスチュァデス(注:スチュワーデスorフライトアテンダント)から貰い、例えばアンカレッジで乗務員が替わると(以前 米大陸に行く時は必ずアンカレッジで一度着陸・休憩していた)改めて各一個ずつまた貰い、復路で同じことを繰り返すと1旅行で8個のカードが入手出来る・・・と自慢している男がいた。

 ところがその航空会社が、ある時たまたまデザインを替えてしまったのである。計画が狂った彼は、怒り心頭で航空会社に問い合わせた処、デザイン変更前の古いカードが10数個、ドカッと送られて来たとの事である。何事も諦めずに「言うべき事は言ってみるもんだ・・・」とつくづく感じた。

 カードコレクターから見ると、無料配布のカードは概ね紙質がよくない。私の持っている航空会社のカードの内、カナディアンパシフィック(当時)のカードは有料(確か800円)だったが、質は最高で極めて印象に残っている。加えて、お土産としても使えるので半ダースほど買った記憶がある。モノの豊富な時代、“タダならば(質を落としても)良い”と言うものではない。問題は価値・・・と、つい考えてしまうのも、私が流通小売業に長く居たからだろうか?

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