坂本圭史

上海マジック研修ツアーの思い出

 2009年7月には中国北京でFISMが開催される。中国のマジックというと、私達の世代では、古典的な中国服で、チャイナリングやセイロ・金魚鉢の出現などを得意とした李彩が頭に浮かぶが、最近はFISMでも活躍したジュリアナ・チェンの世界的な活躍など、大きく変わって来た。一方、別の視点からカードの世界でも中国を抜きにして語る事が出来ない。私が力を注いでいるカードコレクションに欠かせないのが中国である。

 さて、私どもTAMCは、概ね毎年、海外マジック研修ツアーを実施している。「研修」と名は付いているが、どちらかと言うと、“マジック「鑑賞」ツアー”である。これまでハワイ、ロスアンゼルス、ラスベガスなどの繰り返しであったが、過般、初めて中国・上海に行った。カードを買い求める楽しみも格別であったが、以下はその時の記憶に残った中国の印象である。

1.上海雑伎団鑑賞

写真1
写真1

 「昼食10分、夜の食事も長くて30分ですませて次の行動に移る」のが私たちの日常行動であるが、マンマンデーの中国でそれは通じなかった。

写真2
写真2

 上海料理<写真1>をたっぷり味わった後、バスで会場にかけつけた。会場は「上海サーカスワールド」(中国名 上海馬劇城 <写真2>)。予定時刻を10分おくれ、すでに演技は始まっていた。

写真3
写真3

 人体浮揚術や胴切術なども、たまには、やるようであったが、当日はスピード感あふれた神業ともいえるようなアクロバット<写真3>などに終始した。体操競技の様なものも多く、「これじゃオリンピックで中国の体操は強い訳だ」と同席の友人は笑っていた。

写真4
写真4

 この一連のショーの中でマジックの要素があるものに、「滑稽飛刃(コミックナイフ)」があった<写真4>。これは舞台に客を上げ、目かくしさせる。術者はその客に向かって数本のナイフを投げつけるというもの。客はおびえるが、会場の客にはトリックがすべて丸見えで、爆笑する・・・というユーモラスなものだった。

2.豫園商場(豫園ショッピング・アーケード)

写真5
写真5

 400年以上も前に造られた中国庭園美の象徴「豫園<写真5>」に隣接しているこのショッピングアーケードは、日本でいうと浅草の仲見世といった処。中国の工芸品、玩具雑貨、食品など、あらゆる中国製の商品が軒を並べている<写真6>

 ここでも中国風情のあるカードを何個か購入。1個5元~10元であった。(60~130円)。品質を落せばもっと安価なものもあった。

写真6
写真6

 そのほか、中国調のシンブルや家族で楽しめるゲームや玩具も購入してみた(150~300円位)。

 今、全世界で生産される玩具の75%が中国製で、玩具は中国五大輸出商品の1つになっている。玩具と言うと、子供のモノと考え勝ちであるが、最近は、むしろ購買力の高い中高年や家族に的を当てた品が多いとの事。心休まるユーモラスな玩具やゲームなど、ストレスの多い中堅サラリーマンの需要は意外に多いと言う。

 夜景観光の途中、さる広場で下車したところ、「モノ売り」の子供たちが何人も近づいてきた。直径5cmぐらいの透明ボールで、地面や床にたたきつけると突然、光が点滅する「マジックボール」を買って欲しいとの事であった。 2個10元と言うので、買おうとした処、ガイドさんが7元(1個3.5元 50円ほど)に値切ってくれた。

 ショッピングで感じたことは「商品がものすごく安い」ということである。日本の2分の1~5分の1と考えていれば、先ず間違いなかった。

 中国カードのコレクションの一部を、次回以降に掲載する。

 ≪ 前回                             次回