坂本圭史

高齢者による 高齢者のための マジック

 【タイトルは米国大統領リンカーンの名言 
  “人民の人民による人民のための政治” 
  からヒントを得て作った】 

 昨年3月、第4腰椎圧迫骨折のため緊急入院。脊椎手術を2回行ない、その後は現在もリハビリに励んでいる。 マジックラビリンスの寄稿もご無沙汰してしまった。

 リハビリは現状、週3回、毎回3時間行なっている。 たしかに後期高齢者にはなったがまだ末期高齢者(?)ではない。 腰と脚は痛いが、アタマとクチは大丈夫。
 その様な訳でリハビリ開始前の懇談の時間を利用して、その席で即席マジックをご覧に入れたり、マジック談義をするのが恒例となってしまった。
 こういう形でマジックをするとは思ってもいない事だった。 リハビリに来ているかただけでなく、その主催者側のリハビリのスタッフの皆さんともマジックを通して大変楽しい交流をいただいている。

リハビリ会場 全体風景

 「マジックが趣味です」と言うと「やって見せて・・・!と言われる。 でもサッカーのサポーターが、皆サッカーをするだろうか? 相撲が好きな女性が、自分で相撲をとるだろうか? 「見て楽しむ事」も立派な趣味なのだ。

 マジックは男でも女でも、大人でも子供でも、昼でも夜でも、一人でも大勢でも出来る・・・こんな素晴らしい趣味はない。 しかもマジックは「タネ」と言う他の趣味にはない特殊なモノがあるお蔭で、僅かな努力で人気者になれる。

 良く「マジックをする人に悪い人はいない。悪い人は普段人を騙しているからマジックはしない」と言う人がいる。 でもマジックは「人を騙すもの」ではない。「人にユメを与えるもの」である。

「カード(トランプ)の復元」を演じる筆者
~3つに切り分けたジャンボカードもいつの間にかモト通りに・・・~

 種明かしをすると「なーんだ、そんな事か・・・!」と言われ「尊敬」が一気に逆転し「軽蔑」に替わる。 だから種明かしは原則としてしてはいけないのである。 前から見ると「不思議」、ウラに回ると“バカバカしい”・・・このギャップが大きいほど優れたマジックだろう。 「何百回も練習しないとできない」とか「ネタを作るのに物すごくお金が掛かるマジック」などは、私に言わせれば大したマジックではない。

リハビリのスタッフにも試演していただいた
~アピアリングケーン(シルクがステッキに変わる)~

 そう言う趣旨から「リハビリの席でマジックを演じて見せる・・・」と言っても別段難しい事をやっている訳ではない。 勿論通常ならば舞台で行なうイリュージョンを、私なりに模型を作り「家庭で出来るイリュージョン」と題して演じる事もあるが、殆んどがカード(トランプ)1組、或いは紙コップ、紙幣、コイン、新聞紙またはコピーを1枚取ればそれで「誰でもすぐできるマジック」である。

「家庭で出来るイリュージョン」“人体切断術”
3つに分かれ、またモト通りに・・・(自作)
「家庭で出来るイリュージョン」“人体浮揚術”
宙に浮く。支えはない~(自作)

 特にリハビリのスタッフの皆さんには演じ方をより詳しく説明し、
「他の曜日にリハビリに来るかたがた」にも演じて見せていただいている。

リハビリのスタッフにも試演していただいた
~シルク(ハンカチ)が隣のアナに飛び移る~
リハビリのスタッフにも試演していただいた
~マジックではないが超特大のメガネを掛けて笑いを誘う~

 石川県小松市の名刹「那谷寺(なたでら)」のご住職が
「ぼけない5か条」と言って次の5つをあげている。

① 仲間がいて、気持ちが若い人
② 人の世話をよくし、感謝のできる人
③ ものをよく読み、よく書く人
④ よく笑い、感動を忘れない人
⑤ 趣味の楽しみを持ち、旅の好きな人

 人間は感動を感じなくなったら人生もオシマイ。
花を見ては美しいと思い、旅を楽しみ、本、新聞によく目を通し、音楽を聞いては心にやすらぎを与え、映画、ドラマの話題作は必ず見る。 やり甲斐、生き甲斐の意識を常に持つ。そしてマジックに限らず、何でも良いから、趣味は必ず持つ事。 「昔は良かった」と言う言葉は相手を傷つける事が多いからから言わない方が良い。

「どうせ」「いまさら」「もう」とは言わない事。
「やっと」「これから」「せっかく」と考える。

 「粗大ゴミ」「産業廃棄物」「賞味期限キレ」と言われない様に、趣味を楽しみ、人々と交流を計り、からだも心も元気を保ち、楽しく人生を過ごすのが一番!

【平成27年8月 記】

「スダレの中のカード」を演じる筆者
~嘗て三笠宮ヒゲの殿下の御前で演じ好評をいただいたマジック~

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