坂本圭史

変わるもの 変わらざるもの

~同じカードでも…~

第1回

 今から6年ほど前、TAMCが創立70周年を迎えた時、記念品に何を作ろうか・・・? など検討し、会員にアンケートをとった処、第1位は記念トランプ、第2位はテレフォンカードで、結果、オリジナルマジックトランプを記念品として作った<写真1>

写真1 TAMC70周年記念 オリジナル マジック トランプ
写真1 TAMC70周年記念 オリジナル マジック トランプ

 トランプは一説によると、中東アジアで生まれ、ジプシーによってヨーロッパに持ち込まれたと聞いている。
日本には、400年ほど前、ポルトガル人によって、鉄砲と共に伝来した。
私は、過日、九州大牟田に行った。大牟田は長崎に近く、江戸時代、ポルトガル人の影響を受けており、この地に住んでいた三池住貞次という人が日本で初めてトランプを作ったとの事、それが日本最古のトランプとされ、『天正カルタ』と呼ばれている<写真2A・2B>

写真2A 復元天正カルタ
写真2A 復元天正カルタ

写真2B 復元天正カルタの一部 (拡大)
写真2B 復元天正カルタの一部 (拡大)

 そんなことから、大牟田市には、“三池カルタ・歴史資料館”と言う立派な記念館があり、世界各地の珍しいトランプが相当数、展示されている<写真3・4・5・6>

写真3 図説「カルタの世界」 三池カルタ・歴史資料館発行
写真3 図説「カルタの世界」 三池カルタ・歴史資料館発行

写真4 同資料館の内部にて(中央・筆者)
写真4 同資料館の内部にて(中央・筆者)

写真5 資料館に展示されているカードの一部
写真5 資料館に展示されているカードの一部

写真6 カードゲームを楽しむポルトガル人像(等身大) 同資料館にて
写真6 カードゲームを楽しむポルトガル人像(等身大) 同資料館にて

 トランプは本来、ポルトガル語で“カルタ”、英語で“プレイングカード”と言われ、“トランプ”と呼んでいるのは日本だけである。
従って“トランプ”と言っても世界各地、日本以外では全く通じない。
ポルトガル人が、カードゲームをやっているのを見て、彼等が「切り札」を出す時「トランプ!」と叫ぶのを聞いて、日本人は「カード」の事を「トランプ」と呼ぶようになってしまったのである。
丁度、マージャンの事を「リーチ」と呼んでいるようなものではないか?
世の中には時代の変遷と共に「変化していくもの」と「変化しないもの」とがある。
同じカードでも、テレフォンカードは出現してからアット言う間に、殆んど、その存在価値を失い、その姿を消しつつある。携帯電話の普及によって、公衆電話が少なくなったからである。この半世紀を見ても、百人一首、カルタ(日本語での)、メンコなども愛好者が激減した。
時代の変化は怖い。昔100年の変化はこの10年で行われている。この10年の変化は1年・・・と言われるほど変化の激しい毎日が続いている。
しかし、トランプ(プレイングカード)は永遠に不滅である。

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