平川一彦

マーロー・ライブラリー 1
1940年代 (1)

 生涯をマジックに捧げたマーローはマジック界に大きな功績を残しています。演技・手順の運び、ミスディレクション、マジックマインドを語る部分では読者を深く感激させ、マーロー・タッチとして広くカード・マジシャンに影響を与えてきました。

 熟年期のマーローは日夜練習に明け暮れ、テクニックは桁違いに優れたものであり、技の連発であったと弟子達が語っているように、練習量は想像を超えていました。完成度の高い技法と極められた創作はマジック雑誌や著書で広く公開されました。当時はインターネット時代と違い情報を得る雄一の手段である本・雑誌は非常に貴重な存在でした。カードマジック愛好者は我先にマーローの作品を手に入れようとしたのも頷ける話です。カーディシャンの中のカーディシャン、それがマーローです。

 マーロー・ライブラリーではマーローの功績である出版物を初期から10年毎に全10回のシリーズに分けて11回目に一覧表を掲載する事にしました。 年代が不明なタイトルは前後の出版の順位で年代を推測しました。掲載から外れた作品は手を尽くしても私の書棚を埋めていないタイトルになります。完全なマーロー・ライブラリーにはなりませんが、マーロー理解の一助として、著者または編集者、初版発行年代、ページ数、出版社を原文で記載し、最後にコメントを短く付け加えました。

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Bull's-Eye Coin Tricks

Edward Marlo, 1942, P.32,Soft Cover.
Ireland Magic Co.

 3カットの挿絵で目次が無く中綴じ。最初のページは、テクニックと何種類かのトリックが解説されています。中でも、“Single Coin Routine”が興味を引きます。
 
 
 
 
 

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Let's See The Deck

Edward Marlo, 1942, P.32,Soft Cover.
Ireland Magic Co.

 これは14種類のカードテクニックやそのトリックを14カットの挿絵で解説したマーローの若い頃の作品で、全て相手から借りたデックでほとんど簡単にできる内容です。
しかし、その1つ1つのトリックやテクニックは、我々が見過ごしていた、あるいは気が付いていなかった大切なポイントを教えています。
面白いところでは、“Handling Improved”、“Annemann's Aces Disregarded”などです。  
 

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Deck Deception

Edward Marlo, 1942, P.24,Soft Cover.
Ireland Magic Co.

 これもマーローの若い頃の著作で、9種類のトリックと20種類のテクニックを20カットの挿絵で解説した比較的、易しく出来る作品です。
“The Spy”や“Divining Hanky”などは古くからある簡単なトリックを面白く改良しています。

 
 
 
 
 
 
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Shoot The Works

Edward Marlo, 1943, P.49,Soft Cover.
L.L.Ireland

 挿絵が38カットのこの小冊子は、“ダイス”に関するトリック、ルーティーン、そして、そのテクニックを3セクションに分けたマニュアルです。
帽子を使ったダイスアセンブリーやカップを使ったダイススタックなど面白い作品が数多く解説されています。
 
 
 
 

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Early Marlo

F.I.Marshall, P.97,Soft Cover.
Magic Inc.

 これはマーローの初期の頃の作品である “Pasteboard Presto”、“Amazing Isn't It”、 “Marlo's Discoveries”、“Oddity and Other Miracles”の4冊を合本したもので、中でも、カメレオン・デックやユー・ドゥ・アズ・アイ・ドゥなどが面白いです。

 
 
 
 
 

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