氣賀康夫

ダブルリフト
Double Lift


    <解説>
    ダブルリフトはカード奇術でたいへんよく使われる大切な技法です。
    カードを1枚と思わせて2枚を重ねて取りあげるだけの手法なのですが、原理が簡単なだけに、 実はこれほどくうまく実行することが難しい技法は他に思い当たりません。 筆者の恩師、高木重朗師もダブルリフトほどむつかしい技法はないとよくこれについて言及されました。
    そして筆者も過去60年、世界中のカード奇術家のダブルリフトを見ていますが、 「これが決定版」という方法には出会うことがありませんでした。
    この問題の技法について、現時点でこのようにしたらいかがかと提案申し上げたい方法をここでは説明いたします。
    そして以下にダブルリフトで大切な点をまとめておきます。

    1.ダブルリフトのためのいわゆるget readyと呼ばれる準備動作はできればない方が望ましい。

    2.しかし、get ready不要のダブルリフトの技法でこれはいいというものが見当たらない。

    3.理想のダブルリフトは「左手に配り手の持ち方で保持した一組のカードのトップ1枚を 左拇指で右に押し出して、それを右手に取って観客に示すという ごく当たり前の動作」に見えるものでなければならないと考える。

    4.石田天海師は技法でダブルリフトを実行することをなるべく避けて、 奇術の手順の全体の流れのなかで一枚のカードを右手に取ってそれをし観客に示す場面を作り、 その間に左手拇指でカードをもう一枚右に押し出しておいて そのカードの下に左小指のブレークを作っておくという一種のget readyをもっぱら愛用しておられた。




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