土屋理義

マジックの切手
第4回

メルツェルのチェスの自動人形

 チェスの自動人形を考案したのは、ハンガリーのケンペレン男爵という人で、オーストリアの女帝マリア・テレサに仕え、1769年に宮廷でこのチェス人形と人間を対決させて、人々をあっと言わせました。箱と人形の前面には扉が付いており、これを開くと中に人の隠れる余地など無いように見えます。しかし実際には、男爵の従者の一人であるチェスの名人が、巧妙な仕掛けの箱の中に入り、チェスを指していたのです。その後この人形は興行師メルツェルの所有となり、かのナポレオンも対戦して負かされるなど、見世物として各地で評判となります。そして最後にはアメリカ・フィラデルフィアの博物館に引き取られましたが、1854年の火事で建物と一緒に焼けてしまい、その数奇な運命を終えたのでした。

チェスの自動人形の切手
チェスの自動人形の種明かし

(一般には上図のように考えられていた。しかし・・・)


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